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2017.06.28

そこに愛はあるのかい?

システムを「外注」するときに読む本

システムを「外注」するときに読む本

世の中には何故こんなにも使えない(費用対効果の低い)システムが溢れてるんでしょうか。

私がIT業界に飛び込み20年になりますが、これまでたくさんのシステム構築導入プロジェクトに関わってきました。

官公庁の大規模システム構築導入から、小企業向けの業務アプリの開発まで、100以上のプロジェクトに関わったと思いますが、当初に期待していたシステム効果が得られなかったプロジェクトがたくさんありました。感覚値では半分以上がそうだと思います。

何故、新システムの導入に「失敗」してしまうのか。本書はその要因をユーザー目線で捉えた一冊です。

私がこれまでの経験から確信していることは、ユーザーとベンダーがお互い「信頼関係」で結ばれているかどうかが最重要です。いったら「そこに愛はあるのかい?」です。

ここでのポイントは「双方向」の信頼関係かどうか。ユーザーがベンダーを信頼していても、ベンダーがユーザーを信頼(信用)してない場合は、たいてい上手くいきません。仕様書通りにとりあえず作って、お金貰ってそれで終了。そのシステムがユーザーのビジネスにどのような効果を与えたのかまでは全く気にしません。

ここにベンダーからユーザーへの信頼(信用)が加わると、「そもそもユーザーにとって課題解決となるソリューションって何だろうか?」の問いから入るようになります。イシュー・ドリブンです。

検討した結果、新システムを構築導入する前に、現状の業務フローを見直してみましょう、小さな業務改善の仮説検証から取り組んでみましょう、という提案になります。

結果、ベンダー側としては、大きな金額の受注を逃すケースもあると思いますが、使わない(使えない)システムを無理やり導入するより、よっぽどユーザー(お客様)との信頼関係が構築されます。この信頼関係を元に改めて大規模システム構築導入を実施した場合は、たいていが期待通りの、さらには期待以上の成果を生み出すシステムが出来上がります。感覚値ですが。

私はベンダーからの目線の意見ですが、本書はユーザー側でシステム導入を検討される経営者にこそ読んで欲しい一冊です。